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Ⅰ.はじめに
マイコン・ブームが起こり,マイコンは十数万または数十万円で入手できるようになってきた.マイコンというのは,始めはマイクロ・コンピュータという言葉の省略形であったが,最近ではmyという意味を含めて,マイコンまたはパソコン(パーソナル・コンピュータ,個人用の意)と呼ぶようになった.
ブームといわれる一方,机の上にほこりをかぶって使われないまま放置されているマイコンが非常に多くなってきていることも確かである.そういう人達の言葉は,購入直後,添付されているTVゲームのソフトウェアを一通り使ってみたものの,本格的に使用しようとすると,フロッピー・ディスクやプリンタが必要になり,本体だけではほとんど使えないことが分ってきたので,もうあきらめたという返事が多い.
確かに,大きな記憶容量と迅速なデータ処理を希望するならば,フロッピー・ディスクが必要となるし,結果を記録しようとすればプリンタも必要である.しかし,一番根本的な誤りは,何かやってみたいという動機にあるものと筆者は考えている.何ができるか,とか何か便利なことに使えないかという漠然たる考え方でマイコンを買うということは間違いである.
自分の日常の仕事を分析し,データを入力してこれを処理してみたいという目的をまず定めて,これに適したマイコンを選ぶという考え方をしないとマイコンは役に立たないのである.例えば,自分の患者のリストを作ってみようとか,患者の評価をしてみたいというように何か1つ目的を持つことが必要であろう.そうであれば,演算速度,データ処理速度は,どのようなマイコンでも,少なくとも人間がやるよりははるかに速いし,記憶容量が少なければ,少しずつデータ処理をして記録するようにすれば,小型の数万円のポケット・コンピュータと呼ばれるものでも十分使用する価値がある.
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