症例報告
重症脳性麻痺児への呼吸訓練―重症脳性麻痺児への呼吸訓練
古澤 正道
1
1ボバース記念病院
pp.54-56
発行日 1983年1月15日
Published Date 1983/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102784
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1.はじめに
近年,抗生化学療法の発展で,脳性麻痺児の呼吸器疾患による死亡は減少していると報告されている1).しかしながら,現在でも重症の脳性麻痺児においては呼吸器疾患の罹患が高く,依然肺炎による死亡率は一位を占めている2~4).さらにこれは重症心身障害児施設のみの特徴でなく,肢体不自由児通園施設を含む全施設病院での問題であり,療育活動の中で不幸にも経験するところである.
これに対して,児玉5)やRothman6)は,呼吸機能の改善のために腹臥位でのポジショニングを勧め,五味7)は訓練以前の体力を重視し,食事摂取の改善や十分な睡眠をとるための工夫をすることによって重症脳性麻痺児の基礎体力を向上させることを強調している.
Bobath8)は,重症脳性麻痺児では生命維持機能の促進にセラピストも積極的に参加すべきことを強調している.そして,呼吸・食事・便秘9)・血行・睡眠などの問題の改善に前向きに関与すべきと述べている.
そこで,神経発達学的観点から呼吸機能や排痰機能の改善に取り組んできた重症脳性麻痺児の治療を紹介して,重度重複障害児への理学療法の一助としたい.
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