巻頭言
脳性麻痺児に対する粗大運動機能訓練指導のあり方
朝貝 芳美
1
1信濃医療福祉センター
pp.1355
発行日 2002年12月10日
Published Date 2002/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109954
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脳性麻痺児に対する訓練指導に関しては,統一した客観的な評価法がなく,担当訓練士の判断に任せられ,予後予測に基づいた訓練指導の時期,頻度,方法などが考慮されずに漫然と通院指導が行われていることもある.特に,平成14年の診療報酬改定による訓練回数の制限や訓練士数の不足により訓練頻度が増やせない場合も多い.
粗大運動に関して,限られた頻度の外来通院だけでは児の持っている能力を最大限伸ばすことが不十分な例もある.代表例として,手つき座位または不安定な支持立位のレベルから,就学前後に下肢の変形拘縮に対する手術や入院集中訓練により,室内クラッチ歩行が実用化する例(Gross Motor Function Classification SystemレベルⅣからⅢに向上する例)などがある.漫然と外来通院をしていれば歩行は訓練レベルにとどまり,車椅子移動が主体となってしまう.特にクラッチ歩行を通院で向上させることは困難なことが多く,その理由として自宅には歩行のスペースがない,保護者では児が甘えてしまい歩行訓練ができない,保護者・児ともに時間を確保できないなどがあげられる.また,日常で歩行するにはまだ不安定ということで,普段は車椅子移動が主体で,週何回かの訓練の時だけの歩行を繰り返している場合も多い.
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