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はじめに
Bobath法は単に運動訓練でなく,感覚―運動訓練(Sensory-Motor Training)としてとらえれら,子供の全人格(whole personality)を包含してアプローチするのが正しいといわれている.今回の「CP児のADL訓練」を取り上げられたのも,そのような意味あいが強いと思われる.
そこで,この稿を始めるにあたって,感覚―運動面からみたボバス法をある雑誌に掲載されているのをみたので,それを引用したい1).
『あらゆる接触を通じて,セラピストは子供に感覚の認知を教え込み,さらに認識と学習課程の補助として,次のような治療要素が考えられる.
1.早期治療では,乳児は自分の身体が取り扱われる(Handling)ことによって,子供を世話する人々や周囲の対象物を認識するようになる.
2.立ち直り反応(Righting Reaction)や平衡反応(Equilibrium Reaction)の訓練によって身体の認知がおこなわれる.
3.坐位,立位,歩行での調和のとれた対称性,非対称性運動の訓練が空間の感覚,左右の区別,身体のシエマを伝える.
4.自律的な運動と一緒になってコントロールされた調和のとれた運動が行なわれるのは,正常な身体の感受性と計画された運動を遂行する能力があって始めて可能となるのである.』
このように,感覚―運動系統の配慮が,単にPTの場面のみならず,日常生活全般にわたって必要になってくるのである.
次にCP児のADL訓練を考えるにあたって,各症例がそれぞれ異なりどのようなところを焦点にすればよいか迷ったが,ここでは乳児を基本に,しかも重度の痙直型四肢麻痺児と緊張型アテトーゼの四肢麻痺児の2つのタイプにしぼった.
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