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講座
失行症・失認症Ⅱ 人間行動の神経学的メカニズム(下)
Apraxia and AgnosiaⅡ: General Consideration (2)
上田 敏
1
Satoshi UEDA
1
1東京大学附属病院
1The University of Tokyo.
pp.253-257
発行日 1979年4月15日
Published Date 1979/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101888
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Ⅱ.人間行動の神経学的メカニズム
3.知覚のメカニズム
人間の認識過程はふつう感覚,知覚,認知の3つのレベルに分けて論じられる.前回述べたように運動の過程にもプランニング,プログラミング,運動の指令の3段階があり,これらは相互にほぼ対応するとみてよい(図1参照).
感覚(sensation)とは認識活動のうちのもっとも基本的なもので視覚を例にとれば,網膜の上に投影された図形(色や明暗のニュアンスも含めて)をほぼ忠実に対応する神経細胞の興奮パターンに変換する働きをいう.これには言うまでもなく,網膜,視束,外側膝状体,視放線などの極々の部分が関与するが,最終的には大脳皮質の一次視覚領(後頭葉の後端から内側面にかけての有線領Brodmannの第17野)で完成される.この部が侵されると,部位に応じた視野の欠損(4分の1盲,半盲など)が生ずるのはよく知られている.聴覚についての感覚作用は,一次聴覚領(側頭葉上面の41,42野)で行われる.
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