Japanese
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研究と報告
重度女子脳性麻痺者における下肢を使用しての家庭生活自立の可能性
Independent Home Life of the Severely Cerebralpalsied Adult Female utilizing the Lowerextremity
寺山 久美子
1
,
谷川 利恵子
1
Kumiko TERAYAMA
1
1東京都心身障害者福祉センター
pp.443-447
発行日 1977年6月15日
Published Date 1977/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101494
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Ⅰ.はじめに
最近の障害者処遇では“脱施設化”傾向が強調されている.障害者だけ施設で暮すというのではなく,地域社会の中で一般の人と交流しながら生活したいという運動が障害者自身の中からうまれた.理念としての脱施設化傾向は多くの人の共感を呼び異論を唱える余地はない.問題はその方法である.当センターではその一つの解決法として住宅改造業務に取り組んできた.すなわち,都営車椅子者用住宅をハーフメイド方式で建て,障害者の身辺処理能力の自立への道をひらいた.一方,個人住宅においても浴室,トイレ,台所などそれぞれの動作の自立を目ざして改造,増築,新築などの住宅相談を行ってきた1).また都では,「スエーデンのフォーカス住宅のような介助者付き住宅を建ててほしい」という障害者団体の要望を受けて「ケア付住宅」の検討を行っている.
このように,重度の障害者が家庭生活において自立していくためには本人側の身辺処理能力の向上と併せて,環境条件の改善―住宅改造が不可決となる.筆者らは,従来家庭生活の自立が極めて困難と云われた女子の緊張性アテトーゼ型四肢マヒ脳性麻痺者について,代償機能としての下肢機能を使用して身辺処理能力を向上させ,併せて住宅改造を行い成功をみたのでここに一例報告する.
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