とびら
大きな幹を目指して
高梨 美和子
1
1中央鉄道病院
pp.405
発行日 1977年6月15日
Published Date 1977/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101487
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最近は,リハビリテーションという言葉を新聞やテレビで,目にし耳にする様になり,リハビリテーションとは,どんな分野の用語であるか,おぼろげながら知られてきたと思われます.今から8年前,清瀬のリハビリテーション学院に在学中,先輩に連れられて横浜の駅前で,道行く人々に「リハビリテーションという言葉をご存知ですか?」とたずねて回った事を思い出します.その時の人々の反応は,「え,何ですって」と必ず聞き返した後で,不思議な事を聞いた様な顔で,「知らないなあ」,「その何とかステーションとは何のこと?」というものが大部分でした.その中で「良くは知らないが聞いたことはあるよ」と云われた時は,嬉しくなり,まったく見ず知らずの人ではないような親近感を持ったこと,又これから社会の中でリハビリチームの一員として盡力し成長していくことの困難さを思う反面,使命感の様なものが湧きあがってきた事が克明な記憶として残っています.しかし今,リハビリテーションという言葉が使われ出したものの,正しい意味で使われているのであろうかという疑問が生じてきます.私が直接に接している障害者,その家族さらに看護婦でさえ「今日は熱があるのでリハビリはお休みさせて下さい」と云う.職業復帰について障害者の職場の上司と話しあう時も「病院で充分訓練して,リハビリテーションが終ってから職場にもどして下されば結構です」こんな云い方を名く聞きます.
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