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はじめに
リハビリテーションの仕事を始めて7年余,CPのもつさまざまの面を,OTの立場からながめ考え,そして試行錯誤の歩みをつづけてきた.今回のテーマである,‘ADL’の問題は,CPを扱うOTの方々の最も苦心されている分野の1つといえよう.ご苦労さまのことである.
私は初め,ここで私に与えられた‘トイレット動作’‘食事動作’の指導法(テクニック)について1つ1つ説明する作業をこの原稿用紙上ではじめた.CP児に適したディバイスは何々,机と椅子の条件は何々,指導上の留意点はこれこれetc,etc,etc,そのうち私は,何かしら,食い足りなさ,もどかしさ,いらだたしさ,白々しさを感じはじめた.と同時に,制限枚数の10枚では,とてもとても,OTの方々の手引きをなるようなものは書けないことにも気がつきはじめた.私がどうして,そんな疎外感に悩まされたのか?
‘指導のテクニック’よりCPを‘指導するうえで,セラピストがぜひ心得ておいてほしいこと’を書きたい欲望を猛然と感じはじめたのである.
私のこの欲望の背景にあるものは―遅々として進歩の遅いCPをかかえて,嫌気とあきらめと闘いながら,苦戦する,CPを担当しているOTの方々を支援し,職業人としてがんばってもらいたい気持ちが半分,CPをこれから扱おうとする若いOTの人たちに,先輩の体験した,貴重な試行錯誤の行為を無にしないで,より高い技術を獲得していってほしい気持ちが少々,そして私自身の‘叫びたい気持’が残りのすべてである.手引きとなるような‘ADLの指導解説書’は機会があれば,本にでもしてお目にかけられれば幸いである.
なお,ここでは,CP幼児,つまり就学前の,ADL指導の一番重要な時期のCPを念頭において書いたので,そのつもりで読んでいただきたい.はじめに,ADL指導上一般のこと,つづいて,食事・トイレットの順で述べよう.
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