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特集 Duchenne型筋ジストロフィー症
Duchenne型筋ジストロフィー症—病態研究の現状
Duchenne Muscular Dystrophy
石浦 章一
1
,
杉田 秀夫
1
Shoichi Ishiura
1
,
Hideo Sugita
1
1国立精神・神経センター神経研究所
1Division of Neuromuscular Research,National Institute of Neuroscience
キーワード:
Duchenne muscular distrophy
Keyword:
Duchenne muscular distrophy
pp.405-409
発行日 1991年5月1日
Published Date 1991/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406902062
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はじめに
Duchenne型筋ジストロフィー(DMD)はX染色体劣性遺伝形式をとる重篤な筋疾患で出生男児3,500人に1人の割合で発症することが知られている。良性のBecker型筋ジストロフィー(BMD)も同じX染色体短腕p21に存在するジストロフィン遺伝子の変異によって生じるが,20歳を過ぎてもまだ歩行可能な例としてDMDと区別される。BMDは3万人に1人の発生率とされている。もちろんこの2つの中間型も存在する。
ジストロフィン遺伝子はX染色体の1%を占める巨大遺伝子で,正常では分子量427kの膜タンパク質をコードすることが報告されている1)。ジストロフィンは主として骨格筋と心筋の細胞膜の細胞質側に発現しており2),この巨大遺伝子故の突然変異率の高さと共に,症状は横紋筋のみに現れることも良く知られている事実である(図1)。
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