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1.はじめに
現在,日本の施設では,ほとんどが,徒手筋力検査の基準として,Daniels等の「徒手筋力検査法」を用いていると思うが,如何であろうか.1912年以来,Dr. Lovettをはじめとして,今日まで,多くの人々の研究と努力により,より客観的に,共通基準として,科学的な裏づけのあるものへと,徒手筋力検査法は改められてきた.そして,現在もなお,研究され,改められ,考え直されている.日本でも,たとえば,片まひ患者の評価のために必要な,各種の検査法,脳性まひ児のそれら,その他いろいろな研究と試みがなされていることを,知っている.理学療法士・作業療法士の養成機関職員である私は,学生の臨床実習で,そういうさまざまな試みに,接することが出来る.その中で,徒手筋力検査については,比較的,修正・改善の試みが少ないように思われる.私の寡聞を許して頂きたい.
1971年にKendall等の「筋―検査と機能」の第2版が,1972年にDaniels等の「徒手筋力検査法」の第3版が出版された.多くの修正が行なわれ,新しい事柄が加えられた.Kendall等の第2版は,それが出版されるまで,私が持っていた疑問に答えてくれる箇所も,かなり加えられていて,大変重宝にしている.両書の改訂版を合わせても,まだ,私には,疑問と不明な点が,多々残っている.それらは,読者の皆さまにとっては,やさしすぎるもの,すでに解決ずみのもの,研究中のものかも知れない.日本理学療法士協会士部研修会テーマに,「筋力テスト」があったし,ニュースにはのらない,また,文章にされていない施設内での研究テーマとして,とりあげられたことも多かったと思う.徒手筋力検査に興味をもって,研究されている理学療法士も知っている.残念なことに,私自身は,「筋力検査」のテーマで,広く皆さまと話し合う機会が,ほとんどなかった.ただ,学院の検査測定のクラスで,学生と疑問・問題点等を話すことは多く,また,患者の検査をしているときに,考えこむことは,しばしばあった.したがって,徒手筋力検査に対する疑問・問題点を書かせて頂ける,この機会を感謝している.平常,心にかけながら,忙しさにまぎれて,なかなか出来ない質問に,読者の方々から解答を頂けるよきチャンスと,未熟な考え方を怖れず,提出させて頂く.ご教示を希う.
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