特集 脳卒中のリハビリテーション
Ⅴ 作業療法
片麻痺患者のための職業前作業療法
寺山 久美子
1
1東京都心身障害者福祉センター
pp.520-524
発行日 1971年11月9日
Published Date 1971/11/9
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518100515
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職業前部門での作業療法士の役割
職業前部門とは何か,いかなる専門職員が,どんなふうにかかわればよいのか―このへんの事情は,混沌として定説がないし,定まったパターンもない.各施設の性格,置かれた位置(都市か地方か),障害者の種類,周囲の職業事情など各種の因子によって規定されるし,またその‘弾力的’なところが,職業という,一刻一刻変動する目標を前にしてのあるべき姿と思える.従来われわれのやり方として,医学的リハビリテーションサービスをまず行ない,プラトーに達したところで,職業のニードの有無を確認し,必要ならば職業前評価訓練を施し,さて職業カウンセラーに‘こういうケースなんですがいかがでしょうか.就職先ありましょうか’というアプローチであった.ところが就職戦線は厳しく,変動しやすく,こうした,ステレオタイプな,一方向的な,観念的な(つまり,必ず職業部門は職業前部門の後にあるものである.また‘訓練’しなければ,障害者を就職させえないものであるという,関係職員の固定観念)やり方だけでは,とても障害者を就職させえないことを日びの仕事の中でいやというほど学ばされた.
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