Japanese
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特集 歩行
対麻痺の歩行について
Gait by Paraplegic Patient
今村 満
1
,
山本 公作
2
,
中野 博久
2
,
今西 吉一
3
Mitsuru IMAMURA
1
1関西労炭病院理学診療科
2関西労災病院整形外科
3関西労災病院理学診療科
pp.17-23
発行日 1968年10月9日
Published Date 1968/10/9
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518100146
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はじめに
対麻痺という機能障害を持つ患者に対して,医学的リハビリテーションの分野での大きな仕事は,麻痺した両下肢を用いて,いかに安定しかつ能率のよい歩行を行なわせるか,ということである。従来多くの人びとによって,理論的にも実際的にも種々の研究がなされ,現在では対麻痺の歩行については,一応体系づけられた訓練プログラムが作られ,われわれもこの理論を応用して実際的な指導を行ない成果をあげてきた。
しかし,近年産業災害・交通災害などの多発に伴って,外傷性脊髄損傷による対麻痺患者の数は増大し,障害の程度も多くの種類にわたり,これまで体系づけられた訓練指導要項の範囲では処方しきれない症例も,まま経験することが生じてきた。
基本的に対麻痺患者の歩行に対するいろいろの処方は,麻痺の高さ,筋力の残存程度,関節可動性の範囲,拘縮の有無,弛緩性麻痺か痙直性麻痺か,およびEMGなどの静的な評価に基づいてなされるべきであるが,さらに実際上歩行せしめた上で,これを詳細に動態で分析し,その結果,動的評価に基づいて歩かせ方を処方し,松葉杖や補装具などの欠点を是正する必要が痛感される。
今回は,対麻痺歩行について一般的な基本訓練の方法を述べると同時に,動態分析の結果を加味して検討を加える。
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