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I.緒言
工業の発展に伴い,大工場に於ける騒音が強大となり,その音響に曝露された従業員に職業性難聴の見られることは,以前より知られた事実でその本態究明,治療法,或いは予防対策等が幾多の学者によつて研究されて来た。最近に於ては各種のビタミン,チオクト酸,パントテン酸,コンドロイチン硫酸等一連の細胞代謝を賦活する薬剤が有効であるとして使用されている。先に豊成は比較的低単位の2,3の薬剤を1年6ヵ月に亘り連続使用し,その治療並びに予防効果について詳細に観察報告したが,かかる長期間に亘る薬剤投与法として,注射したり,散薬を調剤したり,分服させたりするのは,長期に確実に使用する場合想像以上に困難であり,時間的にも経済的にも色々な問題が生じて来るものと思われる。我々は以上の観点からコンドロイチン硫酸400mgを含有するコンドロンS錠(以下c.s.と略記する)を1日1錠6カ月間連続経口投与し,従業員の聴力の推移を観察し認むべき結果を得たので茲に報告する。
A therapeutic agent Chondron-S was admi-nistered to the employees who were engaged in works constantly exposed to a noisy environment ; the dosage was 1 tablet a day for the period of 6 months.
The agent was effective in prevention of deafness in low and middle-tones by 21.3%: in speech hearing by 36.1%.
Its effectivity was also shown among those who were employed during a long period of duration.
There is however, a limitation to its effec-tivity under an extreme loud noises (101-110 phon).
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