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I.緒言
1935年DomagkのProntosilに始つた諸種のSulfa剤は,化学療法上,現在まで臨床面に果している役割は極めて大である。更にペニシリンを契杙として,ストレプトマイシン,クロラムフェニコール,テトラサイクリン等の幾多の抗生物質が相次いで発見されて以来,これら抗生物質は又急性並びに慢性炎症の各種疾患に対して顕著な効果を発揮しているとはいえ,他面,かかる抗生物質療法を行うに当り,ペニシリンシヨック,ストレプトマイシン中毒,耐性菌の出現及び菌交代現象等の危惧すべき重大な欠陥をみるに至つた。必然的に従来の化学療法においては,脚光を浴びていた抗生物質の蔭におされていたかの如きSulfa剤の価値が再認識され,新しいSulfa剤の出現が期待されるようになり,ここにいわゆる,作用持続性Sulfa剤が発見されるに至つた。この新しいSulfa剤の有導体としてのSulfisomezole(Sinomin)は,既に多くの基礎的研究及び臨床成績の結果より,従来のSulfa剤に比較して卓越した効果を有する事が実証されている。我々は,この新Sulfa剤Sulfisomezole(Sinomin)を,耳鼻咽喉科領域における諸種の急性感染症に対して経口,静注並びに局所的に使用して,認むべき効果を得たので,その臨床成績を報告する。
As a long acting sulfa drug sulfisomizole was employed in 58 cases of affections involving theear, nose and throat. The result was a marken effect shown in 6 cases (10%), effective in 49 cases (85%) and no effect in 3 cases (5%). In other words this agent proved to be effective in 55 cases or 95%. Majority of casesshowed no side-effects excepting in 2 cases there were complaints of gastric symptoms and in 1 case a manifestation of a skin rash. The symptoms were readily relieved when the drug dministration was stopped.
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