薬剤
耳鼻咽喉科領域における新サルファ剤ポリサイダルの使用経験
竹林 俊夫
1
,
柳 陽二
1
,
片野 文夫
1
,
増田 喜信
1
1日本大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.1021-1026
発行日 1968年12月20日
Published Date 1968/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492204045
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I.はじめに
1932年Domagkがプロントジルを発見して以来,数多くのサルファ剤誘導体が合成され,いわゆる高級サルファ剤,持続性サルファ剤がつぎつぎに発表されてきた。しかし近年各種の抗生物質が相ついで出現したために,サルファ剤による恩恵が忘れられ,化学療法の主流は,サルファ剤から抗生物質へ移つてしまつた感があり,昨今では感染症といえばすぐ抗生物質というふうに,抗生物質があまりにも乱用されすぎている傾向がある。しかしながら,これらの抗生物質の使用については,これに関連したアレルギーとかShockの問題,あるいは耐性菌などの諸問題がからんでくるので,特に軽度感染症に対するサルファ剤の重要性が可認識される必要があるように思われる。
そこでこのたび,従来のサルファ剤よりもグラム陽性菌や陰性菌にたいしてin vitroにおいて強い抗菌力を示し,しかも従来の持続性サルファ剤投与量の1/5〜1/10程度のきわめて少量で効力を発揮するといわれる新型サルファ剤ポリサイダルについて,これを耳鼻咽喉科領域の疾患に対して,臨床的に試用する機会を得たので,その成績をここに報告する。
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