原著
Candida albicansに対する各種抗生物質・Sulfa剤・Vitamin剤・Hormon剤の作用に就いて
大川 知之
1
,
川村 昭夫
1
1東北大学医学部産婦人科教室
pp.539-541
発行日 1954年9月10日
Published Date 1954/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201093
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緒言
抗生物質療法の進歩は目覚ましいものがあるがこの反面最近抗生物質療法に対すを批判も必要になつて来た。例えば或る抗生物質が或る細菌群を抑制すれば反面拮抗細菌群の異常な増殖をもたらし,予期しない事故が起ることがある。この代表的なものが所謂Monilia症(現在Candiasisと云われている)である。
婦人科領域ではMoniliaは腟外陰炎の症状で帯下増加及び外陰部掻痒感を訴えてくる。帯下増加は婦人科では極めて多い症状であり,淋疾並に腟Trichomonasのため及び子宮内膜炎特に頸管カタール・腟部糜燗に依る場合が非常に多い。従て帯下増加の大部分は細菌性のものであるとの考え方から抗生物質療法が一般の常織となつて来た。その結果は腔Monilia症の流行発展を招くに至つて居る。即ちPenicillin(以下PN),Str-eptomycin (以下SM)等の抗生物質治療を受けつゝある間に急に帯下は却て増加し,外陰部の激しい掻痒感を訴え症状の増悪を来したのを診る場合が少くない。
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