薬剤
耳鼻咽喉科領域における抗プラスミン剤Transaminの臨床効果
岩沢 武彦
1
1札幌逓信病院耳鼻咽喉科
pp.195-205
発行日 1967年2月20日
Published Date 1967/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492203738
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Ⅰ.緒言
線維素溶解現象Fibrinolysis(以下線溶現象と略記す)とは,血漿中に存在する蛋白分解酵素の作用を受け線維素(Fibrin)あるいは線維素原(Fibrinogen)が溶解する場合をいい,1893年Dastreが無菌的に凝固した血液が何ら細菌の汚染なしに特発的に融解する現象を発見したことに端緒を発した。さらにTillet,Mac Farlane,Unger,Ratnoff,Astrup,岡本,山村,安部らの内外の諸学者の研究によりFibrinolysis体系の概念が次第に確立されるにいたつたが,いまだ線溶機序には解明されねばならない幾多の未解決の問題が浅されている。
線溶現象をひき起す血漿中の蛋白分解酵素は,Fibrinolysinとも称えられたが今日Mac Farlaneの名付けによるPlasminの名称で呼ばれるようになつた。この線溶酵素Plasminは決して単一物質としてではなく2種以上の酵素の複合体として考えられFibrinolytic Enzymeとしての作用多様性が証明されるにいたつた。
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