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臨床分野のいずれを問わず止血剤の効果に期待すべき場合は少くないが,吾々耳鼻咽喉科領域においては,骨組織に関連の深い手術野を対象とすることが多く,またその解剖学的関係から,結紮等のいわゆる機械的止血処置に依存し難い場合が少くないために,止血剤の必要に迫られることが甚だ多い。然し,その止血機序の重点が,毛細血管の抵抗,或は血管壁の透過性との関連において成立するものは,かかる場合の止血剤としては,必ずしも適当とは言い難い。この意味においては,寧ろ血液凝固性の亢進に依存することが望ましいのであるが,然しその反面殊に老年者の手術を対象とする場合等は,血液凝固性の促進はThrombosisの問題をめぐつて大きな問題があるといえるだろう。
偶々最近ゼリア化学株式会社から提供をうけたReptilaseはbragilian snake(Bothrops jararaca,Lachesis atrox)の所謂蛇毒から抽出された止血有効成分であり,従来の止血剤とは,著しくその趣きを異にしていることに興味を感じ,その文献を精読するに,既に古く18世紀の頃から知られていた蛇毒の止血効果の本態が,高度活性酵素の作用にあることが明らかにされ,次いでKlobusitzky教授によつて,特有なHemocoaglaseとして純粋な形で分離,抽出に成功されたものである。従つて神経毒素とは全く無関係であり,またその他の有毒成分や,異種蛋白としての懸念を有しないといわれる。
Reptilase a hemostatic agent is adetoxified element isolated from the poisonous secretion of the Brazilian snake Bothrops Jararaca. This agent has been tried in 40 cases of operative procedures including tonsillectomy, tympanoplasty, septum operation and removal of cervical glands. Compared to other agents used for similar purpose reptilase appeared to be markedly effective. There was no side-effects in its use.
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