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耳鼻咽喉科に於けるLeucomycin Trocheの使用経験
大沢 林之助
1
,
添野 精一
1
1東京逓信病院耳鼻咽喉科
pp.634-636
発行日 1956年9月20日
Published Date 1956/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492201640
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Ⅰ.緒言
抗生物質の出現以来その耐性菌が大分問題にされるようになつて来ているが,Erythromycinに就ては菌の耐性獲得が甚だ遅いものとして喧伝されている。さてLeucomycin(以下LMと略記)は,秦藤樹等が1953年北里研究所内の庭で発見した1放線菌株を培養精製して得られる国産のものであるが,Erythromycinと略々同様の性状,抗菌Spektrumを持ち,その耐性獲得の傾向も或種の菌では後者より遅いものがある位で,臨床面での応用価値は可成広い事が認められている。秦等の報告ではLMの抗菌性は酸性側より塩基性側で強く,血清の影響を受け難く,溶血性も認められず,又抗菌像はG(+)菌,淋菌等のG(-)菌及びSpirochaetaに強力に作用し,百日咳菌,Bruzella属,Leptospiraにも抗菌作用を示すが,G(-)腸内菌には抗菌力が弱いと述べている。
今回耳鼻咽喉科方面にLM・Troche(以卜LM・T.)を使用する機会を得たのでその治療経験を報告する。
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