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耳鼻咽喉科領域に於けるOrgadrone使用経験
大沢 林之助
1
,
法水 正文
1
1東京逓信病院耳鼻咽喉科
pp.461-464
発行日 1961年5月20日
Published Date 1961/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492202679
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I.まえがき
スルフォン剤に次ぐ抗生物質の発展は化膿性疾患を主な対象とする耳鼻咽喉科領域に於ても驚くべき治療効果を示し,その為に疾患の様相は全く昔日の観を更めるに到つた。然しこの抗生物質による化学療法も10年余の歳月を経た今日では略々その限界に達した感があり,ここで更に一歩優れた薬物療法の出現を期待するものが多くなつた。副腎皮質ホルモン製剤の発見はこの点に於て一歩前進したものと思われ,今日では副作用殆どなく治療効果の極めて優れた合成副腎皮質ホルモン剤が多数作られている。耳鼻咽喉科領域に於ける本剤の使用は,他科に比して稍々遅れた感があるが,優れた製剤の出現と共に治療効果が次第に認められてきつつある。
我々は今回新合成副腎皮質ホルモン剤Dexamethazone即ちOrgadroneを三共株式会社より提供されたので各種疾患に試用し,後記の様な成績を得た。本剤の化学構造,薬理作用等の詳細については既に多くの発表があるので省略するが,使用に当つては我々はその各種の作用の内,糖質代謝作用を上廻る抗炎症作用に最も重点をおき,更に肉芽の抑制,アレルギー作用の抑制にも期待をかけた。
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