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耳鼻咽喉科領域に於けるノブロンの使用経験
荻野 洋一
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1新潟大学医学部耳鼻咽喉科教室
pp.285-293
発行日 1959年4月20日
Published Date 1959/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492202223
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外科的処置を施すに当り患者の精神的不安をなくし,手術その他の侵襲が生体に加えられた際の反応を出来る限り最小限度に止めると共に手術後に於ける疼痛,不眠などを除去すると云う事に就いて,従来多くの努力が重ねられて来た。耳鼻咽喉科領域に於いては,頭部,顔面及び頸部に手術的操作が加えられる上に,最近は手術方法の進歩と共に生体に加えられる手術的侵襲の度は非常に増加しつつあり,此の問題に関しては特に関心が持たれるべきである。一方最近は全身麻酔の進歩に伴い,多くの手術を局所麻酔によることなく,最も安全且つ適当と考えられる全身麻酔法によって行う場合が多くなつたが,亦Phenothiazine誘導体の応用により,所謂浅い全身麻酔と略等しい状態で局所麻酔と全身麻酔の両者の長所を充分に生かし,生体の防衛反応を抑制し或は昂めない方向に持つて行く方針の下に手術が行われると云う場合も可成り多くなつた。此の方面の研究は最近活溌で多くの業績が発表されている。
吾々の教室に於いてもChlorpromazine,Promethazine,Demerolの三者を適当に組合せカクテルとして強化麻酔を実施し極めて良好な成績を得ているが,一方ノブロンを単独に或はPromethazine Demerolと共に以下に述べる種々の方法により使用しその成績を検討して見た。
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