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まえがき
AndantolはN-dimethylamino-isopropylthiophenyl-pyridylamine hydrochloride(isothipendyl hydrochloride)で次のような構造式を有し,アメリカではTheruhistinの名で報告されている抗ヒスタミン剤である。
Committee on New and Unused Therapeuticsの報告によれば,Theruhistin(アンダントール)によつて,摘出モルモット腸管のヒスタミンにより誘発された痙攣は他の抗ヒスタミン剤によるよりも有効に,又aerosolのヒスタミン及びアセチールコリンにより惹起された気管支痙攣はEthylendiamine及びPhenothiazine系のものより15倍も強力に緩解され,セロトニンにより誘発された気管支喘息も少量で阻止され,更にTheruhistin(アンダントール)は少量で強い局所血管収縮作用を示してヒスタミン丘疹を著明に減じ,感作モルモット腸管に対するchallengeを他の抗ヒスタミン剤の約4倍の強さで防禦し,他の多くの抗ヒスタミン剤と同様にコカインの40%,キシロカインの70%に相当する局所麻酔作用があるという。なお人間に直腸から或は静注で多量を投与しても循環器,中枢神経系には認むべき影響がなく,60名に普通量を1日3回分服で最短1カ月間投与したが,血液像,セファリン・コレステロール絮状反応,ブロームサルファレイン,ビリルビン,アルカリ性フォスファターゼ,チモール混濁試験,尿所見に異常を来さなかつたという。要約すればアンダントールは優れた抗ヒスタミン作用のほかに,抗アセチールコリン作用,抗セロトニン作用があり,更に強い局所血管収縮作用,局所麻酔作用を示し,而も毒性は極めて少いということができる。
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