論説
喉頭癌治療の成績に就て
笹木 實
1
1九州大學
pp.89-92
発行日 1948年6月1日
Published Date 1948/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492200065
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從來喉頭癌の治療法としては手術的療法と放射線療法とが行われている。手術的療法中現今一般によく實施されている方法は喉頭截開術と喉頭全摘出術にて前者は一側聲帶に限局した初期聲帶癌のみに適用され、後者はこれより病勢の進展した例に廣く施行されている。放射線療法にはラヂウム療法とX線深部療法とが行はれているが共に手術的療法の時期を失したもの或は手術後の補助的療法として施行されていることは周知の通りである。
恐るべき癌腫もその初期に於ては一小部に限局した局所疾患に過ぎない。この初期に於て之を手術的に除去すうことが一般癌腫に對する理想的療法にて、かかる時期には放射線療法を行はぬのが常道である。然し喉頭癌に於ては解剖學的關係上特殊のラヂウム照射法を行ひ得る故に初期癌に於てもラヂウム療法が好んで應用せられ手術的療法に劣らぬ好成績を治め得る域に到達している。
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