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1緒言
喉頭截開術は1851年Buckが喉頭内惡性腫瘍摘出に始めて用ひてより以來多くの學者により喉頭内癌腫摘出に採用せられしも本法が近來殊に長足の進歩をなしたるは實にSemon,Butlin兩氏の努力による所多く,Mooreは彼等兩人を評して「Semonは早期診斷による症例の選擇に就て,Butlinは手術技術の改善に就て大なる貢献をなせり」と述べ,喉頭内癌種の手術的療法に對する兩人の寄與を稱讃せり。
今成書及び文献に就き治療成績を概括するに,Semon Butlin以前に於ける治癒率はP. V. Brunsによる15例の喉頭截開術に於ける1例のみの治癒例,Sendziak(1851-1891)は86例中8例即ち8.7%の冶癒率を,又同氏(1890-1904)は114例中25例即ち21.9%の治癒率を,Delavan(1900)は50例中12例即ち24%の治癒率を報告せしのみなり。然るにSemon(1903)は18例中15例即ち85%の治癒率を,Butlin(1909)は21例中13例即ち62%の治癒率を,chiari(1909)は29例中15例即ち52%の治癒率を,Thomson(1912)は10例中8例即ち80%の治癒率を,Gluck 1903)は88%の治癒率を報告せる如く治癒率に於て格段の改善上昇を示したり。爾後Jackson(1941)は50例の喉頭截開術を行ひ次の成績を發表せり。46例即ち91%は1年以上再發せず而も其の86.6%は3年以上生存しありて又最近の治癒率を平均75-90%に達しありと云ふ。 余は最近約十ケ年間に中村臨床に於て行はれたる喉頭截開術の治療成績に就て次表を掲げて報告し併せて諸腎の御批判を乞はんとす。
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