書評
—谷戸祥之・松川啓太朗●編—Cortical Bone Trajectory(CBT)法—理想の軌道がここにある
浅見 尚規
1
1三和会池田病院脊椎脊髄外科
pp.753
発行日 2016年9月10日
Published Date 2016/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436203369
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
●CBT法にハマった外科医の拘りの手術記録
仕事は拘るからこそ続けられるし,拘りが形を創り,それを語る言葉にも重みが増す.
CBT法は,筆者も2012年秋に紹介されたときには,保険会社に支配される欧米由来の安易な手術手技,なんじゃこら(宮崎弁)椎弓根スクリュー法としてあしらった.一方で,同時期に渡米し,O-arm®Rナビゲーション下でCBT法を多く行っている外科医と仕事をし,秘めたる可能性を認識していた.その後,第21回日本脊椎・脊髄神経手術手技学会学術集会(2014年)の会長として,種々の研究会の抄録を取り寄せ,主題の採択準備をしていくと,CBT法について,防衛医科大学関連施設からの多くの症例報告がやはり気になり出した.しかし,抄録や実際の発表では,時間内に収まるありきたりの報告が続く.側方経路腰椎椎体間固定術(PLF)から後方経路腰椎椎体間固定術(PLIF)への変換時期に比べて熱い討論などはない.では,どこが従来の椎弓根スクリュー挿入より有用なのか? どこまで適応できるのか? 筆者のような並の外科医は,リカバリー手技として,一種のバリエーションとして考えるに過ぎなかった.X線透視下ではあるが,試してみても,しっくりこなかった.
Copyright © 2016, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.