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書評 Cortical Bone Trajectory(CBT)法—理想の軌道がここにある
米延 策雄
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1滋慶医療科学大学院大学研究科
pp.969
発行日 2016年10月25日
Published Date 2016/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408200658
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CBT(cortical bone trajectory)法に関する,昨今ではみることが少ないモノグラフである.もちろん,CBT法がめずらしいのではない.この本の構成である.まず,少数著者の手による.章立てはCBT法の基礎から臨床(実際),そして応用となっている.基礎編では,その成立要件となる解剖とバイオメカニクスが著者らのデータに基づいて記載されている.実際編では,術前準備から始まる腰椎CBT法の手技がイラストを多用してわかりやすく説明されている.そして,著者らの治療成績が多面的に評価され示されている.多くの経験から得たパールなどが囲み記事としてあるのも読みやすい.さらに,応用編がある.仙椎や胸椎での本法の基礎と実際も多くのイラストがあり親切である.多椎間固定や外傷への応用,またsalvageとしての本法の使い方,さらには現在,大きな問題となっている骨粗鬆椎骨での工夫がそれぞれ基礎と実際に分けて記載されている.
新しい手術手技やそのためのシステムが次々と開発される時代.これに関わる情報の伝わり方も慌ただしい.たとえば,出版,新しい術式について,多数の著者が分担執筆する雑誌の特集やムック.これらが次々に出され,その速報性は有用なものの,その実際はどうするのか,ピットフォールは,本当に成績はいいのか,といった疑問が少なからず残る.疑問を残したまま,商業主義の勢いに流されて新しい術式に飛びつくのは危うい.他方,新しい術式に従来法にある問題が解決されるのではないかとの期待を抱く.といっても,新しい術式の疑問点を突き詰めようとすると結構面倒である.また,ぴたりとした答えはなかなか得られない.
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