コラム:医事法の扉
第48回 「安全配慮義務」
福永 篤志
1
,
河瀬 斌
1
1慶應義塾大学医学部脳神経外科
pp.401
発行日 2010年4月10日
Published Date 2010/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436101157
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通常安全配慮義務とは,労働者が勤務中に事故などに遭わないように,使用者側において労働者の安全に配慮する義務をいいます.以前は不法行為(民法709条)の問題として取り扱われていましたが,国の自衛官に対する生命および健康などを危険から保護するよう配慮すべき義務を認めた最高裁判決(昭和50年2月25日第三小法廷判決)を契機に,雇用契約を背景として,使用者が労働者に対する安全配慮を怠った債務不履行(415条)の問題として取り扱われるようになりました.
このように,一見医事法とは関係ないように思われますが,医療過誤事例でも医療者側に患者に対する「安全配慮義務」違反が問われることがあります.この場合の「安全配慮義務」は,雇用契約ではなく,診療契約上の債務不履行として捉えられることになります.
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