コラム:医事法の扉
第39回 「チーム医療における説明義務」
福永 篤志
1
,
河瀬 斌
1
1慶應義塾大学医学部脳神経外科
pp.714
発行日 2009年7月10日
Published Date 2009/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436100984
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チーム医療は,患者に対し効率と質の良い医療を提供する点で極めて有用ですが,複数の医療関係者が1人の患者の治療行為に関わるため,時に法的問題が発生することがあります.第29回のコラムでは,手術における患者の同一性確認について,「信頼の原則」の適用が否定された判決(最高裁平成19年3月26日判決)をご紹介しました1).
今回は,説明義務について検討します.脳神経外科,心臓外科などのチーム医療を行う診療科においては,しばしば誰が患者に対し手術等に関する詳細な説明を行うべきかが問題となります.もちろん,外来で当該患者を診察し,入院手続きを行った医師が「主治医」となって説明することが多いと思われますが,説明義務は,患者と病院との診療契約(民法656条)に基づくものなので,理屈では病院の履行補助者となる当該診療科の医師であれば,誰でも説明することが可能となります.実際,特に日常診療業務に関する事項については,病棟担当の専門医前後の若い医師による説明が医療慣行となっています.
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