特集 神経学における最近の研究
<臨床>
脚気神経炎の出現
高橋 和郎
1
1鳥取大学医学部神経内科
pp.817-818
発行日 1978年7月10日
Published Date 1978/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904945
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脚気は本邦,中国などでは古くから知られた疾患であり,白米を主食とする東洋に多い病気である。欧米ではビタミンB1欠乏症は主としてアルコール多飲からくる栄養障害としてみられる。脚気は明治,大正時代にはきわめて多い疾患であり,1923年頃の統計によると10万人につき50人が脚気で死亡していたようである。しかし,脚気がビタミンB1欠乏によって起こることが明らかとなり,ビタミンB1が多量に製造,利用され,さらには栄養指導の普及などもあって最近はほとんど姿を消したかにみえていた。しかるに1973年頃より西日本を中心として下腿に浮腫をともない,しばしば心拡大がみられる多発性神経炎が報告され始めた。初めは原因不明と思われたが血中ビタミン値,食事調査などを行なううちに,これが久しくみられなかった脚気の再発生であることがわかった1)。以下最近再発生した脚気の臨床ならびに検査所見について述べる。
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