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脚気について
小田 正幸
1
1東大田坂内科
pp.22-27
発行日 1953年7月15日
Published Date 1953/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909363
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近頃都会では脚気病が非常に少くなつて来た。恐らく10数年前に比べてその数が10分の1程度に減じて来たように思われるし,又重症の衝心脚気と考えられる患者を見ることなどは殆んどない。と言つても,これは決して脚気が全くなくなつたと言うことではないのである。今日でも輕症の脚氣と思われる患者は沢山に見られるし,又脚気になる一歩手前の潜在性ビタミンB1缺乏症と言われる状態の人々は非常に多い。殊にこれから夏に向う頃になると,このような患者のおびただしい数が我々の診療室の大半を占めるのが例年のならわしとなつている。
つまり要約すると,日本人では最近昔のような典型的な脚気を見ることは少くなつたが,なお脚気の軽い型のものは沢山にあるし,又脚気程でないがかなりのビタミンB1の缺乏状態が見られると言うことが注目される。以下脚気乃至潜在性ビタミンB1缺乏症の原因,症状,治療等に就いて説明を加え,新しい注意を促してみたい。
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