衛生公衆衛生学史こぼれ話
26.脚気の病因論争
北 博正
1
1東京都環境科学研究所
pp.280
発行日 1986年4月15日
Published Date 1986/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207249
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脚気は徳川時代から"江戸病み"として恐れられ,地方から大名のお伴をして江戸に住むようになった侍や,田舎から働きに出て来た職人などに多発し,衝心を起こして死亡する者も少なくなく,治療法についてはこれといった妙手もなかった.
明治になって人々は移動が自由になり,大都市に職を求めて来る者,工場の寄宿舎に住む工員,下宿や寄宿舎に住む学生,それに軍隊で患者が多発した.陸海軍では患者の多発に苦労したがこれといった対策もなかった,とにかく航海中の軍鑑の乗組員に脚気が多発し,危うく航海不能に陥るという事件まで起こった.
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