今月の主題 心筋症—その展望
原因のはっきりした心筋症
脚気
西 征二
1
,
井形 昭弘
2
1鹿児島大第1内科
2鹿児島大第3内科
pp.40-41
発行日 1979年1月10日
Published Date 1979/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402215715
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はじめに
脚気心(Beriberi heart)はサイアミン欠乏症によりひき起こされ,動悸,浮腫,呼吸困難などの心症状を呈する心筋症である.1930年代においては,脚気心は精白米を主食とし,偏った食生活を営む者,食事を十分にとらないアルコール中毒者,糖尿病患者,重症消化器疾患患者,妊婦などにみられることが多いとされてきた.しかし,1973年以後,西日本地方を中心に全国的に発生した心拡大,下腿浮瞳を伴う若年者脚気心患者1)の場合には,アルコール多飲,消化器疾患などの既往歴を認めず,純粋に食餌性サイアミン欠乏症,すなわちサイアミン含有食品の摂取不足がその主たる病因2)であった.今回の脚気心の発生まで「脚気心」をまったく経験したことのなつ筆者らは,当初その診断に戸惑うことが多かったが,ここに呈示した脚気心の新しい診断の手引きを参考にすれば,その診断は確実かつ容易に行いうるものと考える.
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