特集 神経学における最近の研究
<臨床>
末梢神経障害—外因による中毒性末梢神経障害を中心として
祖父江 逸郎
1
1名古屋大学医学部第一内科
pp.815-816,818
発行日 1978年7月10日
Published Date 1978/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904944
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末梢神経およびその障害についての研究は脳や脊髄およびその障害に関する研究にくらべ多少おくれをとっていた感があるが,最近ではこの方面についての関心も高まり,急速に研究が進み末梢神経の解剖,生理,生化学などに関する成果が得られるとともに,末梢神経障害についても臨床病理を中心として,種々の病態や,障害過程に関する知見が進み,新しい展開がみられる。
末梢神経障害の要因は多彩であるが,神経筋疾患についての国際委員会が長年にわたる検討の末,一応の分類を行なっている。炎症性のもの,遺伝的なもの,外傷,虚血性のもの,中毒によるもの,代謝障害によるもの,悪性腫瘍に伴うもの,末梢神経の腫瘍などに大別している。慎重な検討を経た上,このような分類が一応まとめられたことは,末梢神経障害を整理する上に極めて重要なことで,その方面における進歩の一つであろう。この分類からも分るように,末梢神経障害の内容はきわめて広汎で,それらの各々について,触れる余裕がないので,ここでは,主として外因による中毒性末梢神経障害を中心に述べる。外因による中毒性末梢神経障害には,産業界での新しい化学物質使用や医療における薬剤によるものなど最近20年間に新たに登場したものもあり,中毒性末梢神経障害をおこす外因物質には付表のようなものがあげられる。
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