特集 マインドフルネスを医療現場に活かす
実践を学ぶ
学生教育におけるマインドフルネスの実践
髙宮 有介
1
1昭和大学医学部医学教育学講座
pp.62-68
発行日 2018年2月15日
Published Date 2018/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200257
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医療者の抱えるストレスに救いを!
医療者は「医療の使命」を果たすために働いている。しかし、このやりがいのある大きな目的の一方で、現代の医療現場は非常に過酷である。医療者の労働には、広範な知識をベースとして、日毎にアップデートされる医学の技術的進歩に精通しつつ、そのうえで各状況に応じて医学的に適切な判断を下すことが求められている。誤った解釈や判断は患者の病状経過に重大な結果をもたらし、その後の生活に大きな影響を与えるからである。医療事故を避けるための医療安全も年々その重要性を増し、更にストレスは大きくなってきている。
医学生に目を向けると、厳しい医学教育課程のなかで精神的な課題を抱え、留年や退学、場合によっては自殺にいたる学生が存在する1。また、研修医においても、過酷な業務を通してうつ病などの精神疾患を有したり、バーンアウトしたりする者もいる2。医療の専門職として高いレベルでの責任を負うことは、大きなやりがいであると同時に大きな「負担」にもなりうる。この負担は、汎用されているような形での単なる「仕事上のストレス」などというものにとどまらず、個人のレベルでは個人達成感の喪失・情緒的消耗・脱人格化を誘導し3、またはうつ病の発症率の上昇をもたらし4、病院組織レベルとしては、職員の離職率の増加5,6などとして現れ、組織全体に大きな影響を与える。そしてこの状況はなによりも、医療機関に援助を求めて訪れる患者に、質の高い医療を提供する場を確保できないことにつながる7。
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