特集 マインドフルネスを医療現場に活かす
実践を学ぶ
医療者のためのマインドフルネスの実践
笹良 剛史
1
1友愛会南部病院緩和ケア内科
pp.44-53
発行日 2018年2月15日
Published Date 2018/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200255
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ホスピス・緩和ケアの現場でマインドフルネスをどう活かすか?
仏教の修行法の中核をなすヴィパッサナ瞑想がマインドフルネストレーニングとして医学・心理学に取り入れられ、医療、教育、ビジネスから果ては軍隊教育にまで用いられるほど、マインドフルネスへの関心が高まっている。関連書籍は書店のみならず、コンビニにまでならび、まさしくムーブメントともいえる状況である。しかし、無宗教を含め多様な思想や宗教的バックグラウンドをもち、がん医療に携わる一介の医療者でしかない私たちは、このマインドフルネスをどのように日常診療、特に終末期の現場で活かしていけばよいのだろうか?
マインドフルネスプログラムの代表であるマインドフルネスストレス低減法(mindfulness-based stress reduction;MBSR)やマインドフルネス認知療法(mindfulness-based cognitive therapy;MBCT)の指導者資格は、構造化したカリキュラムを履修したうえで与えられるが、わが国の有資格者はまだ少ない。指導者のマインドフルネス経験に基づく能力により効果に差異が認められており、経験の足りないマインドフルネス体験者が知った顔で跋扈することが危惧されている。マインドフルネス修行中の緩和医療医である筆者が本稿を語るのは心もとないことではあるが、読者の思いやりと優しさが深まることを祈念しつつ、ここでは自ら経験した終末期ケアに多職種が協働してマインドフルネスな関わりをもった事例について述べ、マインドフルネスを用いた終末期のInter-Being*ⅰな関わりの可能性について考察してみたい。
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