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医療分野におけるマインドフルネス
医療分野におけるマインドフルネス(mindfulness)の活用は、1970年代に慢性疼痛に対するマインドフルネスストレス低減法(mindfulness-based stress reduction;MBSR)として始まった(Fig.1)。MBSRは米国マサチューセッツ大学のジョン・カバットジン(Jon Kabat-Zinn)によって開発された。その概略と開発の経緯は本号の越川論文1(88〜92頁)に詳しいが、概説すると、MBSRはグループ形式の介入法で、瞑想とヨガを組み合わせ、セッション内でのメンバー同士の体験の共有を通じて、心と体のつながりや、思考のあり方が苦悩の原因となりうることを学び、それに対する新しい関わり方を身につけていくプログラムである。プログラムは毎週1回2時間半×8週間のセッションと、6週間目の週末の6時間のミーティング(リトリートと呼ばれる)からなる。1グループ30名ほどの参加者で行なうことができる2。基本となる内容は、formalな瞑想と呼ばれる、さまざまな形態の瞑想(ボディスキャン、坐瞑想、歩行瞑想、慈愛の瞑想、ヨガなど)と、informalな瞑想と呼ばれる、日常生活のなかでの日々の瞑想的な行動習慣の実践からなる。セッションは、前週の実践を土台にして次の週に進んでいく。受講者には毎日45分、週6日間ホームワークが課される。
その後、1990年代に、英国とカナダのZindel Segal、Mark Williams、John Teasdaleらの研究グループが、反復性うつ病患者の再発予防を目的にマインドフルネス認知療法(mindfulness-based cognitive therapy;MBCT)を開発した。MBCTは、MBSRの技法と認知療法の技法を組み合わせたプログラムで、毎週1回2時間を8週にわたって行ない、プログラム以外の時間に毎回30〜45分程度のホームワークを行なう。1グループの参加者は最大12名である。プログラムでは、瞑想などのエクササイズのほか、認知理論に基づいた心理教育などを行なう3。
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