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G.R.A.C.E.とは
医療人類学者であり仏教の師でもあるジョアン・ハリファックスは、1970年代から死にゆく人のケアに携わり、1990年にニューメキシコ州サンタ・フェに設立したウパヤ禅センターを中心に、死にゆく人のケアに携わる専門家のトレーニングを行なってきた。Being With Dying(BWD:死にゆく過程とともにあること)と呼ばれるこのトレーニングは8日間にわたる集中的なプログラムで、仏教瞑想を基軸にヨガやカウンシルと呼ばれるグループワークを織り交ぜながら、ケアする自分自身のあり方や死生観について体験的に探求するものとなっている1,2*ⅰ。
G.R.A.C.E.は、このBeing With Dyingのエッセンスを最新の脳科学や認知科学の成果に基づいて整理し、コンパッション(慈悲心・思いやり)3*ⅱに根ざしたケアのあり方を育むために構築された2泊3日のトレーニングプログラムである。2014年からハリファックス老師とジョン・ホプキンス大学看護倫理学部のシンダ・ラシュトン教授、ワシントン州立大学医学部のアントニー・バック教授によって指導されている。全体の構成は、G.R.A.C.E.それぞれの頭文字をとった5つのパート(G:Gathering attention注意を集中させる、R:Recalling intention動機と意図を想い起こす、A:Attunement to self/other自己と他者の思考、感情、感覚に気づきを向ける、C:Considering what will serveなにが役に立つかを熟慮する、E:Engaging and Ending行動を起こし、終結させる)と、イントロダクションとまとめを含めた7部で構成されている。
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