Japanese
English
症例報告
胆管癌との鑑別が困難で術後早期に肝転移をきたした膵頭部癌の1例
A Case of Adenocarcinoma Arising in Pancreatic Head with an Early Liver Metastasis after Surgery, being Diagnostic Difficulty in Distinguishing it from Bile Duct Carcinoma, by the Conventional Imaging Studies
井上 浩
1
,
中山 吉福
2
,
濱田 義浩
2
,
眞栄城 兼清
1
,
谷 博樹
2
,
高橋 聡
2
,
志村 英生
1
,
池田 靖洋
1
,
岩崎 宏
2
,
菊池 昌弘
2
Hiroshi INOUE
1
,
Yoshifuku NAKAYAMA
2
,
Yoshihiro HAMADA
2
,
Kensei MAESHIRO
1
,
Hiroki TANI
2
,
Satoshi TAKAHASHI
2
,
Hideo SIMURA
1
,
Seiyo IKEDA
1
,
Hiroshi IWASAKI
2
,
Masahiro KIKUCHI
2
1福岡大学医学部第一外科
2福岡大学医学部第一病理
1The First Department of Surgery, Fukuoka University School of Medicine
2The First Department of Pathology, Fukuoka University
キーワード:
内視鏡的膵管造影
,
膵頭部癌
,
下部胆管癌
,
嚢胞
,
肝転移
Keyword:
内視鏡的膵管造影
,
膵頭部癌
,
下部胆管癌
,
嚢胞
,
肝転移
pp.705-712
発行日 2000年11月15日
Published Date 2000/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1427900233
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患者は70歳,女性.黄疸を主訴に受診.入院時の腹部CT検査において膵頭部領域の腫瘍による閉塞性黄疸と診断し,PTBDを施行した.減黄後のバルーンカテーテルERP―圧迫撮影法での膵管像からは,膵癌を示唆する所見は認められなかった.PTBDチューブからの造影では,三管合流部直下に壁不整な閉塞像を認め,EUSより下部胆管癌を疑い,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術および2群リンパ節郭清術を行った.病理組織学的には,膵原発の低分化型管状腺癌で,膵頭後部に主座をおき,下部胆管粘膜に及ぶ全層性浸潤が認められた.膵頭後部は比較的分枝膵管の少ない領域と考えられ,膵管系の変化が描出されにくいため,下部胆管癌との鑑別を困難にしたものと考えられた.本症例では,術後早期に肝転移をきたし,術後80日目に全身転移および敗血症にて死亡した.膵頭部領域癌の膵頭上部および中部発生膵癌に関しては,その解剖学的特徴により,主膵管および分枝膵管に異常所見が現れ難いことを念頭に鑑別診断を行う必要がある.
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