Japanese
English
特集 まれな膵腫瘍をめぐって
まれな膵嚢胞性疾患の病理
Clinicopathologic Feature of the Rare Cystic Lesions of the Pancreas
中山 吉福
1
,
岩崎 宏
1
,
村山 寛
1
,
高橋 聡
1
,
菊池 昌弘
1
,
眞栄城 兼清
2
,
池田 靖洋
2
Yoshihiku NAKAYAMA
1
,
Hiroshi IWASAKI
1
,
Hiroshi MURAYAMA
1
,
Satoshi TAKAHASHI
1
,
Masahiro KIKUCHI
1
,
Kensei MAESHIRO
2
,
Seiyo IKEDA
2
1福岡大学医学部第一病理
2福岡大学医学部第一外科
1The First Department of Pathology, Fukuoka University
2The First Department of Surgery, Fukuoka University
キーワード:
リンパ上皮嚢胞
,
類表皮嚢胞
,
類皮嚢胞
,
扁平上皮
,
副脾
Keyword:
リンパ上皮嚢胞
,
類表皮嚢胞
,
類皮嚢胞
,
扁平上皮
,
副脾
pp.357-360
発行日 2000年5月15日
Published Date 2000/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1427900181
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膵にはまれなリンパ上皮嚢胞,類表皮嚢胞および類皮嚢胞の臨床病理学的特徴について,これまでの文献的報告に基づき概説した.リンパ上皮嚢胞は44例の報告があり,年齢は35~73(平均56.9)歳で,圧倒的に男性に多かった.嚢胞の大きさは平均5.1cmで,膵体部に多くみられた.組織学的には,内壁を覆う重層扁平上皮と,それを取り囲むように発達したリンパ組織の2重構造からなることが特徴であった.類表皮?胞は12例の報告があり,年齢は28~67(平均45.1)歳で,性差はなかった.嚢胞の大きさは平均4.0cmで,全例が膵尾部,膵内副脾より発生していた.組織学的には,嚢胞内面は角化重層扁平上皮で覆われ,内容は変性した角化物質からなるが,類皮嚢胞とは異なり,皮膚付属器を欠いていた.類皮嚢胞は13例の報告があり,年齢は2~74歳(平均24.3歳),若い女性に多くみられた,理学所見上12例が,腹部に腫瘤を触知していた.組織学的には,嚢胞内壁は角化重層扁平上皮で覆われ,しばしば毛髪,歯牙,骨,軟骨などの石灰化組織を伴っていた.リンパ上皮嚢胞,類表皮嚢胞および類皮嚢胞は,いずれも非腫瘍性病変で,扁平上皮で被覆されるという共通点を有するが,年齢,性,発生部位,病理組織像などに,それぞれの異なった特徴が認められた.画像診断上は,嚢胞状形態を示す膵悪性腫瘍との鑑別が重要である.
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