Japanese
English
特集 長期生存膵管癌の臨床と画像
小膵癌の長期予後
Long-term Outcome of Small Pancreatic Carcinoma
眞栄城 兼清
1
,
池田 靖洋
2
,
安波 洋一
2
,
笠普 一朗
2
,
濱田 義浩
3
,
中山 吉福
3
Kensei MAESHIRO
1
,
Yasuhiro IKEDA
2
,
Yoichi YASUNAMI
2
,
Ichiro RYU
2
,
Yoshihiro HAMADA
3
,
Yoshifuku NAKAYAMA
3
1福岡徳洲会病院外科
2福岡大学医学部第一外科
3福岡大学医学部病理学
1Department of Surgery Fukuoka Tokusyukai Hospital
2Department of First Surgery,Fukuoka University
3Department of Pathology,Fukuoka University
キーワード:
小膵癌
,
膵癌の長期予後
,
長期生存膵管癌
,
早期膵管癌
Keyword:
小膵癌
,
膵癌の長期予後
,
長期生存膵管癌
,
早期膵管癌
pp.421-428
発行日 2006年7月15日
Published Date 2006/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1427100174
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通常型膵管癌168例のうち上皮内癌3例を除く腫瘍径2cm以下の浸潤性膵管癌(TS1)24例の長期予後について考察した.自験切除全例に占めるTS1の割合は14.5%であったが,全国集計に比較すると若干高い傾向を示した.その理由としては,膵病変の疑われる症例に対し速やかに膵管形態の検査を実施した結果と推察された.一方,TS1の切除率は100%に近く,切除率の向上が治療成績の改善の第一歩とするならば,TS1を確実に拾い上げる診断体系の確立が急務である.
TS1の5年生存率およびMSTは各56.9%,35か月であり,TS2~TS4のそれと比べると予後良好であるが,Stage III,IVが半数以上を占めており,組織像からみて早期癌にほど遠い状況にあった.ただ,膵内に限局したTS1例は術後5年を経過すると再発死亡がなく,長期生存が期待できる.TS1の再発様式には組織分化度が関連し,予後も肝転移(5.3か月)vs局所再発(21か月)と大きく異なった.とりわけ,高分化型TS1は肝転移が少なく長期生存の確率が高かった.TS1は必ずしも早期癌の条件を満たすものでないが,比較的予後良好な症例が多いため,遠隔時になるほど腫瘍径の持つ意味が大きくなると考えられた.
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