- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
7月末の段階でこの原稿を書いています。中止か強行か,議論の絶えなかったオリンピックがいつの間にか始まり,いつになくたくさんの金メダルが日本選手の頭上に輝いています。私自身は前回1964年の東京オリンピックを鮮明に覚えていて,日本全国がオリンピック一色に染められたワクワクするイベントだったのに比べると,開会までの今回の盛り上がりのなさは何だろうと思っていましたが,いざ始まってみると,エアコンの効いた大画面で見る鍛え抜かれた肉体の美しさにほれぼれとするばかりです。
この一方で,今日も新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者が東京で4,000人超,全国で12,000人を超えたというニュースです。「オリンピックなんぞ見ている場合ではない」とお𠮟りを受けそうですが,第一線でCOVID-19の治療にあたっておられる先生方には心から敬意を表したいと存じます。医療従事者の感染や高齢者の死亡がめっきり減っているのはおそらくワクチンの効果と思いますが,一方で,ワクチン後の副作用の可能性が否定できない神経症候を呈する患者についての論文・論考が少しずつ視野に入るようになっています。つい最近も私の施設にワクチン後に発症したギラン・バレー症候群(GBS)症例が入院しました。2009年に豚インフルエンザのパンデミックがあって,そのときのインフルエンザワクチンがGBSをきたす危険性について各方面から指摘があり,私も厚生労働省の委員として霞が関に足繫く通っておりましたが,幸い有意なGBS患者の増加はないという結論に至ってほっとしたのをいま思い出しています。読者の先生方は既に本誌の昨年10月号でCOVID-19の神経合併症特集はお読みになったことと存じますが,この分野の知見はその後もどんどん蓄積されています。ワクチンの神経学的副作用の存否も含め,近日中に第2弾のCOVID-19特集を出版したいと考えています。
Copyright © 2021, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.