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本誌69巻9号(2017年9月)のあとがきで臨床神経学6大誌である『Lancet Neurology』『Annals of Neurology』『Brain』『Neurology』『JAMA Neurology』『Journal of Neurology, Neurosurgery, and Psychiatry(JNNP)』のインパクトファクター(impact factor:IF)について,この10年間における変遷を紹介したが,本年6月に最新のIFが公表された。表に示すように『Lancet Neurology』の突出は変わらないものの,『JAMA Neurology』(旧『Archives of neurology』)がさらに躍進してIF=11.5となり,微増の『Annals of Neurology』『Brain』とほぼ横並びとなっている。
もともと臨床神経学誌は2006年の序列で一般に評価されてきた。筆者が2010年から副編集長をしている『JNNP』はずっと最下位だが,それでも現在の投稿論文の採択率は10%である。上位誌の採択率はおそらく一桁と思われ,なかなか厳しい時代となっている。『Lancet Neurology』は本体の『Lancet』と同様に採用する原著の半数は第Ⅲ相臨床試験(治験)論文であるために引用が多い。治験は新規治療の登場を意味するとともに,エビデンスとして採用され当局当然頻回に引用される。『JAMA Neurology』は『Lancet』的な戦略をとらず,従来型の原著を採用しているにもかかわらず,IFが徐々に上昇している理由は『JAMA』のブランド力と考えざるを得ない。2006年の感覚からは同系米国誌の『Neurology』の低迷が目立つ。ただし全体として臨床誌のIF上昇傾向は続いており,神経学で4誌が10点を越えた点はneurologistにはうれしいことではある。
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