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あとがき
泰羅 雅登
pp.708
発行日 2012年6月1日
Published Date 2012/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416101228
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今年はいつまでも寒く,梅の開花も遅かったにもかかわらず,4月に入り,入学式にドンぴしゃのタイミングで桜が咲きほこっています。春が巡ってきました。大学の居室が南向きで,この時期の午後は部屋が暑いくらいになってしまいます。おなかが一杯になったお昼時の眠いこと。
さて,今月号の特集は「睡眠と覚醒の脳内機構」をテーマにお届けします。私事で恐縮ですが,私の名前が入った最初の論文は睡眠に関するものです。レム睡眠時に抗重力筋が弛緩します。この論文では慢性のネコで脳幹網様体にある咬筋のプレモーターニューロンにガラス管微小電極を刺し,細胞内電位を記録しています。脳波が徐波から低振幅速波に変わり,筋電図が消失し,急速眼球運動が始まると細胞内電位がすーっと(それこそスーッとなのです)過分極したのを今でも鮮明に覚えています。小山先生の特集総説にあるように,当時,Allan Hobson先生,Michel Jouvet先生がレム睡眠の発現に関しての新しい知見を発表された時期であり,ハーバード大学まで出かけ,Hobson先生の共同研究者のRobert McCarley先生とお話させていただいたことがあります。ハーバードの実験室といっても狭いなあというのが印象でした。
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