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あとがき
高坂 新一
pp.810
発行日 2007年7月1日
Published Date 2007/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416100111
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少し前から私が担当するあとがきでは,その時々の出来事を簡単に書いておくようにしている。後で本特集号を読み返した時,これがどのような社会情勢の中で発行されたのか,思い出せるようにするためである。今回も何を取り上げようかと考えていたが,ご多分に漏れず,あまり良いニュースではなかった。前代未聞の現役農林水産大臣の自殺,緑資源機構の問題,社会保険庁のずさんな年金管理などなど,どれをとっても頭を抱えるばかりである。ゆいいつ若干楽しいニュースといえば,ハンカチ王子を擁する早稲田大学の6大学野球,春のリーグ戦優勝程度であろうか。
さて,本号は「情報伝達処理におけるグリアの機能と異常」と題した増大特集号である。これまでグリア細胞は,脳内において,損傷修復,血液脳関門,ミエリン形成,ニューロン周辺環境の維持など,さまざまな機能を果たしていることが明らかにされてきたが,最近になり,主にニューロンが担っていると考えられてきた神経伝達情報処理にも,グリア細胞が深く関与している事実が積み重ねられつつある。この特集号においては,グリア細胞が持つ多様な機能の中でも,特に最近注目を集めている神経伝達情報処理に焦点を当てて,編集されている。
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