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あとがき
高坂 新一
pp.1104
発行日 2010年10月1日
Published Date 2010/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416100774
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気象庁によると今夏の日本列島の月平均気温は,観測を開始した1898年以降最高であったとのこと。連日の猛暑を越えた酷暑に人も動物も木々も息絶え絶えの様相を呈している。それに加え,やりきれない不快感を益々増長させているのが,某党の代表選挙がらみのここ数日の動きであろう。「国民の生活が第一」という標語そのものは素晴らしいものであるが,それは短期的な観点ではなく,5年後10年後という中長期的な戦略の上に立脚してこそ意味がある。消費税の議論を含め,明確な政治展望も示されない中での代表選にかかわる談合だけが進められているわが国の先行きが誠に気がかりである。
さて,本号では特集として「ブレインバンク」が取り上げられた。脳神経系の病態解明研究におけるブレインバンクの重要性は一昔前から指摘されていたものの,なかなかその体制整備は進まず,現時点においてもある程度体系だったバンクは国内においてごく少数の研究機関に存在するのみである。最近になってリサーチ・リソースの充実とそのネットワーク化が脳科学研究の進展に欠かせないとの認識がいっそう高まり,今後ブレインバンクを含めたリサーチリソースの体制整備が急速に進められていくものと期待している。今回の特集はその意味でまさにタイムリーな特集であると言えよう。
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