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特集 臨床医のための実践的食事療法
Ⅱ.食事療法の応用
低炭水化物食か低脂肪食か? どちらを指導する?
Which is proper for the diabetic patients,low carbohydrate or low fat diet?
津田 謹輔
1
1京都大学大学院人間・環境学研究科
キーワード:
①低炭水化物食
,
②低脂肪食
,
③カーボカウント
,
④地中海食
,
⑤糖尿病診療ガイドライン
Keyword:
①低炭水化物食
,
②低脂肪食
,
③カーボカウント
,
④地中海食
,
⑤糖尿病診療ガイドライン
pp.301-308
発行日 2010年5月15日
Published Date 2010/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415101058
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なぜ今,低炭水化物食が話題になっているのか?
糖尿病の食事療法については,古くから繰り返し議論されているテーマがある.三大栄養素の適正比率の問題もそのひとつである.糖尿病患者に対する三大栄養素の適正比率について,その大枠はコンセンサスが得られているものの,エビデンスに基づいたものとはいえない.それゆえ,低炭水化物食や低脂肪食といった議論が繰り返し行われている.
一方,わが国の食事療法は,食品交換表にしたがって指導することが多い.食品交換表はしばしばエネルギー重視,栄養素のバランス重視といわれる.それに対して最近食事指導の方法として,カーボカウントが話題になっている.カーボカウントとは,摂取する炭水化物量を計算して,「何を」「どれだけ」食べると,血糖値が「どれだけ」上昇するのかを考え,食後血糖値を管理する方法である.その背景には,食後血糖上昇に最も大きな影響を与えているのは炭水化物であり,血糖上昇には,炭水化物の質より量が重要であるという考え方がある.そして血糖値と炭水化物の関係が改めて意識されるようになった.そうすると血糖値を上げないためには,炭水化物を減らせばよいことになり,またまた低炭水化物食が話題になってきた.
ここで,一般的なこととして,「低脂肪」や「低炭水化物」といっても相対的な問題であるという点も注意が必要である.たとえば脂肪エネルギー比30%といえば欧米で「低脂肪」であっても,わが国では「高脂肪」となる.
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