連載 Medical Scope
低炭水化物食における分子栄養メカニズム
西田 朱里
1
1東京農業大学大学院農学研究院代謝機能制御学研究室
pp.79-83
発行日 2020年9月20日
Published Date 2020/9/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.38.09_0079-0083
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近年,低炭水化物食や断続的断食に代表される擬似絶食療法は,その独自性や特殊性から薬物治療と異なる代替療法として,肥満症や糖尿病などの代謝性疾患への予防・改善効果が期待されている。これらの食事療法における実質的な分子実体としてケトン体が指摘されている。さらに,ケトン体に対する細胞膜上受容体の同定により,ケトン体が単なるグルコースの代替エネルギー源として働くだけでなく,シグナル分子として機能することで生体のエネルギー代謝制御に関与する可能性が示唆されている。今後,ケトン体とその受容体を介した分子栄養メカニズムの解明は,栄養管理による先制医療や予防医学への応用が期待される。
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