遺伝カウンセリング・10
治療法がなく死に至る常染色体優性遺伝性疾患(ハンチントン舞踏病)のケース
藤村 聡
1
,
福井 次矢
1
,
塩田 浩平
2
,
武部 啓
3
1京都大学医学部附属病院総合診療部
2京都大学大学院医学研究科生体構造医学講座(形態形成機構学)
3近畿大学原子力研究所
pp.465-468
発行日 2000年5月15日
Published Date 2000/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414902995
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
【症例1】未婚の35歳の女性が,彼女の婚約者,それに2人の子をもつ40歳の姉をつれてハンチントン舞踏病の遺伝相談に来院した.彼女たちの母は20年前,ハンチントン舞踏病と考えられる神経疾患で死亡している.また現在,母方の妹もハンチントン舞踏病という遺伝子診断を受けていることから,彼女たちの母がハンチントン舞踏病であったと推定される.姉は自分自身と現在8歳と6歳の子どもたちの発症の可能性を知ることを希望し,妹は自分の将来の発症の可能性や将来の出産について,婚約者を交えて相談したいとの希望であった.
【症例2】35歳の男性が,自分自身にハンチントン舞踏病が発症する可能性を知りたいと来院した.彼の祖父はハンチントン舞踏病と診断されていて,父方の叔父が50歳の時ハンチントン舞踏病を発病した.彼の父は60歳で交通事故で死亡しているため,父が保因者であるかどうかは不明である.生前,父にハンチントン舞踏病の症状はなかったという.
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.