今月の主題 腎・尿路疾患―一般診療から専門診療へ
腎・尿路疾患の診断と治療
【疾患各論】
常染色体優性多発性囊胞腎
東原 英二
1
1杏林大学医学部泌尿器科
pp.456-458
発行日 2006年3月10日
Published Date 2006/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402100554
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問診・検査のポイント(見逃さないためのコツ)
多発性囊胞腎は遺伝性疾患で,両側の腎臓に無数の囊胞ができる.加齢とともに病状が進行するが,進行の程度には大きなばらつきがある.腎臓の囊胞以外に,①腎臓の進行性機能低下があり,60歳台で約半数の患者が腎不全に陥る,②高血圧が約60%の患者に合併,③頭蓋内出血のリスクが高い,④そのほか肝囊胞,心臓の弁異常などがある.
問診では,①症状(血尿,腰痛,腹部膨満,尿路感染症など)の有無と,あればその時期,腎機能が低下している場合には,腎不全関連の症状(易疲労性,動悸,浮腫,呼吸困難など),②家族歴の聴取は重要で,家系内における同じ疾患患者の有無を聴取する.常染色体優性遺伝なので,男女の区別はなく,子どもの1/2に遺伝する.また家系内での腎不全(透析),頭蓋内出血患者の有無を聴取する.頭蓋内出血は家系内集積することが知られているので,患者本人の予後を考えるうえで大切である,③既往歴では,血管性中枢神経障害,尿路感染症を聞く,④嗜好品として,コーヒー,喫煙を聞く.コーヒーなどのカフェイン,喫煙は病気の悪化要因であるとされている.
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