JIM Report
香港ATLSを受けて
箕輪 良行
1
1船橋市立医療センター救命救急センター
pp.469-471
発行日 2000年5月15日
Published Date 2000/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414902996
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1995年12月,筆者はアメリカのデンバー市立総合病院で初めてATLS (advanced trauma life support)のコースを受けた.折から,その病院の外傷センターのムーア教授のもとで勉強していた時で,臨床医学の先進地で感じていたものが,ATLSコースの中でひとつの形になっていた.どうしてこんなに素晴しいトレーニングが日本で受けられないのか,と疑問に思い,それから4年間,考えたり行動したりしながら,是非ともこのコースがわが国に輸入できるよう願ってきた1),しかし,答えはノーである.その理由は,香港大学医学部におけるアメリカ外科学会(ACS)香港支部のATLSへニューヨークから来ていたラメノフスキー教授が明言した,「日本の外科学会が要請していないので,日本ではATLSは受けられない」と.彼は,ATLSを実際に開発普及させてきた,ACSの外傷委員会ATLSサブコミティの委員長を長く務めてきた.
教授は続けた.「80年代,アメリカ国内ではATLS受講者はわずかずつ増えた.90年代に入り,他の国へ普及し出して激増した.現在32カ国,30万人の医師が受講しており,半分はアメリカ以外の国の医師である.今やATLSはglobal standard,共通言語となった.」
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.